このたび、思い切って「鍋」を一新いたしました。
かつてパリのクリニャンクール市場で、午前午後と同日に2回足を運んで、値切り倒して(笑)ウンセウンセと運んできた、中古の銅鍋セットたちに、別れを告げたのです。 その鍋たちのお陰で、シャルル・ド・ゴールで3時間に渡って、重量オーバーの交渉をするハメになった、あの鍋たちを、ついに手放すことにしたのです! 「良いお鍋が欲しいな」と思い始めたころ、ヨーロッパ(特にパリ)の厨房に、ずらりと並ぶ銅のパンたちの燻された貫禄・・・のようなものに魅せられ、アレをターゲットにしていざ調べてみると、ほんの小さな14cmくらいのもので、既に2万円とかなんとか・・・。 一つだけならいざ知らず、「揃えたかった」当時の私に、手が届くシロモノではなく、そんなときにタイミングよく行ったのがパリだったのです。 お鍋の中古って、、、不衛生かなぁ・・・と悩んだものの、一番大きな(鶏がらスープをとるときや、パスタ茹で鍋として主に使用していました)鍋以外は、磨けば綺麗になるさ、という太っちょの店主の言葉通り、丸1日かけて磨いたら、どれもピカピカに蘇って嬉しかったことを覚えています。 ただ、その頃でも既に、新品の銅鍋(パン)類は、内部が錫ではなくステンレス加工されているものが主流になってきていて、それゆえお値段も張ったのだろうと思いますが、私のものは当然錫のもの。 錫というのは、とても柔らかい金属なので、タワシやクレンザーでゴシゴシやってしまうと、塗装が禿げてきてしまう、という忠告通り、数年来のヘビーユーズの賜物なのか、ぽち、ぽち、と錫の合間に銅色のドットが垣間見えるようになってきました。 錫を塗り直してもらえば、解決することはするのですが、そういった職人さんはやはり日本でも少なくなってきて、一応問い合わせて見ると、新品の鍋が買える値段。 第一、塗り直してもらっている時期、何で調理しようか、などと考えていた矢先に、階段から鍋を落下させてしまった(決してわざとぢゃない!^^;)ため、最もヘビーユーズするサイズが、ダリの絵画のようにぐんにゃりと曲がってしまいました。 柔らかいのは、錫だけではなく銅も一緒でしたので、フンヌッと馬鹿力で少し直してみたものの、どんなに静かにコトコト煮ていても、一度は必ず中に蓋が落下する、という面倒な事態に。。。 加えて、見た目の魅力に惹かれた銅鍋でしたが、やはりメンテナンスは大変で、場所が限られたウチのキッチンスペースで、入れ子にして収納しておくと、オープンとはいえ徐々に緑青の温床に・・・。 昔のキッチンのような、吊るす収納(ちょっとパリの厨房をイメージしてた^^)には良い形状だったのですが、ハコ(家)が変われば事情も変わるといったところかな・・・。 そして緑青は無害だと、過去に二転三転した揚句、厚労省が申してはおるようですが、洗うとスポンジに付くコバルトブルーの鮮やかな色を目にすると、「果たしてこれで離乳食を作る気に、ワタシはなるだろうか・・・?」という疑問も。(ちなみに、緑青は鍋の外側に生えていますゆえ、食品には触れていません。) 今でも大好きなんですけどね、このテイストとエピソード(?)などなど。^^ 実にお世話になった思い入れのある鍋たちです。 銅鍋は6サイズ所有していたので、(うち4サイズをヘビーユーズ)、殆どこれでまかなっていたのですが、一方で、結婚祝いに師匠に頂いたフィスラーが、あまりにも素晴らしいお鍋で、密かに「うわ・・・、やっぱり名門は全然違うんだな・・」と認めざるを得ない感想は抱いていました。もう、使い始めた瞬間から、全然違うのだ。私の知らなかった使い心地でした。 ベシャメルソースだって、決して焦げません。伝導率の良さを、一番に謳う銅鍋にも、一歩も引けを取らない、微妙な火力の伝達。 しかも見た目もステンレスのヘアライン加工(ここ大事!)だったために、私のキッチンとテイストがピッタリ。手入れもラク。 以来、めっきりル・クルーゼの出番は少なくなりました。笑 (意外なところにとばっちりが!?) 「結局、長い目で実用的ではない」と、酷評を浴びてしまっている、あの重さもそうですが、それはまだ若い(?)ので、私は苦にはなっていませんでしたが、ただ、あの重さと引き換えにするほどの名鍋か?と思うと、そこが大分アヤシイし、見た目も垢ぬけない。メンテナンスも、内部に色がつきやすく、結構面倒。洗って乾かす際に、隣の器に触れると、蓋の未塗装部分の錆がうつってくるし。。 オーブンに入れられる、と言う特徴だって、取っ手の取れるクリスタルならば同じくクリアするし、更に、多層構造のステンレスならば無水鍋としても本領を発揮する。 保温性も、実は使ってみたらステンレス多層鍋のほうが、よっぽど保温性あるじゃないか・・・と思ったくらい。 そして肝心なフィスラーの使い勝手は、(ル・クルーゼは他の鍋とは少し用途が違うとはいえ)、もう、、、ぜんっぜん格が違う~!! 師匠から頂いたお鍋は、フィスラーの中でも最も高価なプロ仕様のものだったので、ワタシには豚に真珠もいいところなのですけれど、でもやっぱりお鍋は、本物の素晴らしいものに越したことはないのね!と、使ってほんとに実感していました。 ということで、まずはフィスラーを第一候補に、クリステル、ビタクラフト、あたりを検討していました。 母いわく、「お宅のキッチン事情だと、クリステルが良いのではないか」(取っ手が取り外せて、すべて入れ子にできる)とのことだったのですが、私はクリステルのあのピカピカステンレスがどうも苦手で、ヘアライン仕様のフィスラーが、どうにか取っ手外れるタイプを作ってくれないものかと、悩み(?)つつ、ビタクラフトももちろんチェック。 性能としては、いわずもがな、ビタクラフトが、最も優れているはずですよね。(日本国内でも真似て作ったリーズナブルなものがありますが、候補にあげませんでした。) 他の、いわゆる「名鍋」たちが、一般的にステンレス3層(底辺)なのに対し、ビタクラフトは全面多層鍋。 服飾品と違って、こういう良い鍋っていうのは、紛れもなく「一生もの」になるので、どうせ高いお金を出すならば、最も良いものを・・・と、本当に悩んだし、お料理家に愛用者が多いビタクラフト、使わせて頂いたことも実際にあって、かーなり迷いました。お店に出向いて、何度も何度も手にしました。 が、どうしても、、、ビタのあの見た目が嫌なんです!!!^^; ピカピカステンレスもさることながら(ヘアラインも出してますね。クリスタル同様高級ラインですが)、許しがたいのは、樹脂の取っ手。・・・・なんでこんなに高級鍋なのに、わざわざ安っぽい見た目なの??と、不思議で仕方がなく。 大体、樹脂の取っ手は、うっかりしたら(しなきゃいいんだけど)焦げるし、溝に汚れもたまりやすいし、昭和の香りがしてしまうのは、私だけだろうか?? でも、まず私は3層と5層(ビタは9~11層まである?)での違いが出るほどの腕前ではないし、これだけオープンなキッチンである以上、見た目はやはりかなり大事な要素だ、と思いビタは却下。というか、むしろフィスラーやクリステル級の鍋を使っても、美味しく作れないとしたら、鍋の層を変えるんじゃなくて料理の修行をしろって話だよな…と。^^; そしたら、なんとクリステルってLシリーズなるものがあるのね?!と今更知りました。 (Lシリーズとは、ヘアライン加工のステンレスで、マットな仕上がり&鍋の底面もフィスラーとほぼ同じ形状。) 蓋が別売りの為、普通シリーズより少しお値段は上がってしまいますが、これを見たとたんに、心はもうクリステルに決定!! その後は色々あたってみましたが、フィスラーやビタクラフトが割と2,3割引きしていることが多いのに、クリステルってホント、びた一文負けない・・ってな感じ。。。(´-ω-`) 唯一在庫の少しが安くなっているサイトからと、伊勢丹だと我が家は一割引きで買えるので、残りは伊勢丹経由で取り寄せました。 ハンドルも、樹脂ではなく、ステンレスの「ゼニス」と「フラット(日本国内未発売)」の二つを購入して、すべてのお鍋で使いまわそうと思っています♪^^ たっぷり煮物に重宝する20cmは、丁度フィスラーのサイズなので、今まで銅鍋で使った経験上、あと最も必要な4サイズ(14、18、22、24、)を購入し、今の私に必要なサイズは全部揃えました。 ミルクパンとしても、そして離乳食に(バーミックスを直接突っ込める形状の)14cmのミルクパンも迷ったのですが、14が二つあると入れ子にならないし、離乳食用はクイジナートのフードプロセッサーがあるので、とりあえず今購入するのは4つで十分だろうと。 ↓ 右が、14、22、24の3つ。蓋も数ミリ厚さという、我が家の収納にピッタリな仕様。 真中の、火にかけられているのが18で、取っ手が日本未発売らしい「フラット」。シュッと薄くて、カッコイイ♪ ちなみに、蓋は昔IKEAで購入したもの。18にピッタリだったので、クリステルの蓋は18は買いませんでしたが、これはこれで中が見えるし取っ手がコテンと横になると数ミリになるし、とっても優秀!出来たら全部このIKEAで揃えたかったんだけど・・・・もうなかった。。。値段も、丁度ケタが一つ違った。。。(泣) ちなみに左の両手鍋が、師匠から頂いたフィスラーの20。原点ですな。(クリステルのLシリーズとそっくりでしょ?^^)現在煮物が入っとります。相変わらず毎日愛用! 使い勝手もフィスラーとほぼ同じように感じます。取っ手がとれて、フタが薄い分、そのまま冷蔵庫で保管できる点は、むしろクリステルの方が便利であります。 お鍋はキッチンのテイストや、個々人の好みにもよるでしょうが(よくする料理の傾向にもよるだろうし)、私個人が10年くらいいろいろと使ってみて(最初は安いティ○ール類からスタートして、「銅鍋」「琺瑯鍋」「多層ステンレス」などを使ってみて)行き着いた、率直な感想です。 ちなみに何気に、12cmという小さな手小鍋もヘビーユーズだったのですが、12はどこのメーカーも出ていないようで。。。残念。 お料理の上に乗せる青菜を、別にちょっと茹でたり、こんにゃくのあく抜き、油揚げの油抜き、ミルクティーを作ったり・・・に毎日使う12cmは、それゆえ一番小さな銅鍋をピカピカに磨いて、これだけは現役続行させることにしました。 揃えるとなると高額なので、ちょっと思い切った買い物でしたが、将来、もし実家を乗っ取ることがあっても(あれ?)、クリステルならIHにも対応だし、今は「思い切って変えて良かったな!」と、使うたびに安堵のような気持ちになっています。 だって、これで煮込んだスープは、いつもより味がぐんとしみ込んで、とろ火での調理にもすごい腕力を発揮しています。 オットも、美味しいと喜んで飲んでくれた第一弾のスープでした。↓ コラーゲンたっぷりの、鶏手羽と大根のスープ。ほうれん草と椎茸、ネギなど色々入っております。 とろっっとろでした。そしてこころもち、二人とも肌がぴーんと張ってます。笑 家をトンテンカンテンやっていた時、キッチンに合わせて板金屋さんでオーダーした、ステンレスのキッチン棚にも、あつらえたようにピッタリおさまっている、クリステルが嬉しいです。 贅沢そうに映る(?)本日の日記かもしれませんが、実はこの一年、包丁類と鍋蓋類を収納していた場所は、、、、なんと、、、、空き箱! 空き箱にオイルペーパーを巻きつけて、目立たない個所にコソッとまとめて入れていました。もちろん、スペースが限られているゆえの、苦肉の策です。 包丁は、仮の置き場から、またしても別の仮状態に今おりますが、蓋はこれでようやくきちんと収納出来ます。 キッチン改造は、時間をかけて、妥協しないで(見つかるまでは、空き箱でガマン?!)愉しんで整えていきます♪ オマケ↓ 頂き物のクッキーと、ほうじ茶で一息。 ほうじ茶、解禁しちゃいました。だって、祖母に緑茶を淹れて、自分はうらやましそうにそれを見つめるだけで、我慢していたら、「なんで飲まないの?」と言われまして。 カフェインかくかくしかじか・・・って説明したら、笑われました。昔の人は、そんなこと一切気にしないで、どんどん子供を産んでたわよ、って。 ・・・確かに、昔はこんな情報なかったもんねー。っていうことは、大丈夫ってことよね?と、だんだん自分を縛った規則を(早々に)ほどきつつある最近。
by pechopiano
| 2010-01-21 20:34
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